研究課題/領域番号 |
61540304
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
川口 貞男 極地研, その他, 教授 (40000153)
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研究分担者 |
神沢 博 国立極地研究所, 研究系, 助手 (20150047)
藤井 理行 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (20125214)
渡辺 興亜 国立極地研究所, 研究系, 教授 (60111861)
和田 誠 国立極地研究所, 研究系, 助手 (40132716)
山内 恭 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (00141995)
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キーワード | マイクロ波放射計 / 雲水量 / 輝度温度 |
研究概要 |
南極に於ける気候変動を明らかにする上で、雲、水蒸気の挙動を正確に把握することが必要であり、雲の基本的パラメーターである雲水量の測定は重要である。地上からの放射計による連続的測定をこのための方法として考えている。本年度は南極へ持ち込む前の機器のテストをかねて極地研の屋上にて雲の観測を実施した。用いた放射計は、12GHz,19.35GHz,37GHzの3波長である。観測から得られた結果は次の通りである。 1.12GHzの輝度温度は降水を伴う雲が通過した時のみ増加を示した。増加量は、最大で約80℃であった。2.19.35GHz及び37GHzの場合共に、12GHzの放射計の輝度温度より高い温度を示した。19.35GHzと37GHzの両方の変動傾向は類似していた。降水を伴わない雲が通過したときでも輝度温度の増加を示した。特に37GHzの放射計の輝度温度は変化量が大きかった。例えば37GHzの放射計では余り厚くない層雲の通過時で約20℃の、少し厚い積雲の通過時で約35℃の、輝度温度の増加を示した。更に降水を伴う雲の通過時には150℃近い増加を示した。19.35GHzの放射計では変動量は小さく、余り厚くない層雲では約5℃、少し厚い積雲では約15℃、降水を伴う雲では約120゜Cの輝度温度の増加がみられた。3.更に19.35GHzにたいして同じ輝度温度を持つ層雲と積雲の場合37GHzでは積雲の輝度温度が層雲のそれよりも高い温度を示した。観測した層雲は、水滴から構成されていると考えられ、積雲は、氷晶を含んでいると考えられ、今回の観測から2波長を用いることによる構成粒子の違いの判別の可能性が示唆された。 現在南極昭和基地ですでにマイクロ波放射計による雲の観測が実施されている。下層雲の雲水量の変動は十分観測出来ることが既に報告されている。引き続いて中、上層雲についても観測する予定である。
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