研究概要 |
人工衛星MAGSATで計測された地球磁場資料を解析し惑星間空間磁場IMFが北向き時の沿磁力線電流FAC系の大規模構造に関する次の諸点を明かにした。(1)大規模沿磁力線電流系は異った2個の部分(昼間部分と夜間部分)より成る。(2)IMFBz>0時の昼間部FAC系はNBZ電流系とRegion1電流系が主体である。IMFθ角(YZ平面内のベクトルがZ軸となす角)が0゜(Bz>By>0)から90゜(By>Bz>0)へと回転するにつれ、NBZとRegion1電流系は午前・午后間で非対称となる。NBZとRegion1電流系の強度は真昼から朝夕方に向けて減衰していく。IMFθ角が90゜をこえても(Bz<0)、NBZ電流系は極めて午前午后非対称にはなるがRegion1電流系の高緯度側すなわち昼間極冠域に存続している。(3)IMFBz>0時の夜間部FAC系は、昼間部と異るNBZ電流系が通常のRegion1,2電流系の高緯度側に発達する事で特徴づけられる。夜間NBZ電流系は多重構造を有し、真夜中より朝夕方に向って発展している。NBZとRegion1電流系共に強度は真夜中より朝夕方に向って減衰している。NBZとRegion1電流系は午前・午后間で著しく非対称である。IMFθ角が90゜を越えると(Bz<0)夜間NBZ電流系は極冠域には存続せず通常のRegion1,2電流系が強化され夜側から朝夕方にかけて広領域に発展する。以上を総括して新発見事実は、大規模FAC系および随伴する大規模プラズマ対流系はIMFがBz>0からBz<0に移行しても存続し、それらの遷移は連続的である事と、大規模FAC系とプラズマ対流系は少くともIMFBz>0時には異った2個源で磁気圏に考えるべき事である。IMFと地球磁場の磁場再結合が原因と考えられるが、その物理過程はカスプ領域とその磁気圏尾部領域に独立に発生しているものと推定され、太陽風エネルギーと運動量の輸入に示唆を与えてきた。
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