人工衛星AMPTE/CCEで計測されたベクトル地球磁場データを解析し、地球磁気圏赤道面付近における大規模電流系に関して、新知見を得た。(1)水平電流系、地球磁気嵐時には地球磁気圏L=4.0〜L=8.8の領域に流れる地磁気赤道面に平行な水平電流はコイロの成分より構成される。地球の周りを西向きに流れる電流系と地球中心から外向き又は地球中心に向かって流れる半径方向電流系である。西向き電流は夜間で強く(0.85MA/Re)、昼間で弱く(0.52MA/Re)、強倍比は2〜3:1である。夜間で強化された西向き電流は地磁気地方時22-02時、L-5.6〜8.8の領域において局所的に弱まった部分が発生するが、これはサブストーム周存の磁場変動の集積効果と考えられる。半径方向電流は夕方側で地球に向い、朝方側で地球から外向きに流れる。その強度はどのL殻上でも約0.3MA/Reである。これら水平電流は夕方側に正の発散(涌き出し)、朝方側に負の発散(すい込み)を生じている。発散の位置、指定される沿磁力線電流の流れの方向と強度はregion2沿磁力線電流系とほぼ一致する。L=4.0-8.8領域には地球に向うプラズマフェカ勾配が存在し、この領域がregion2電流系の発生源となっている。(2)磁気圏赤道面領域ではよる側のL=4.0-9.0にわたって沿磁力線電流が発達するが、これはサブストーム時に変形した磁気圏磁場が双極子型磁場に戻るダイポーライゼイション開始時に約数分-数十分先行して発生する。サブストーム時の沿い磁力線電流系の発生には従来のモデルとは別に、半径方向に流れる水平電流(午前側で外向き、午後側で地球向き)の発達が本質であり、この為には真夜中で最大値をとるプラズマ圧力分布が必要であると考えられる。
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