研究課題/領域番号 |
61540336
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
小宮山 トモ 成蹊大, 工学部, 助手 (90054353)
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研究分担者 |
三輪 誠 成蹊大学, 工学部, 教授 (60054243)
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キーワード | 蛋白分解酵素阻害剤 / 特異的修飾 / 蛋白構造の安定性 / Trp残基の露出度 / ゲル電気泳動 / ストップトフロー法 / 阻害活性 / 二次構造 |
研究概要 |
放線菌起原の蛋白分解酵素阻害剤Streptomyces subtilisin inhibitor(SSI)のTrp残基をKoshland試薬で特異的に修飾して、修飾SSI(M-SSI)を調製して、構造と阻害活性の変化を調べた。サブユニット中唯一のTrp残基の修飾によって、SSIの構造の安定性はかなり変化したことがわかった。阻害活性も僅かに低下して、活性部位から離れているTrp残基の周囲の構造が阻害活性の発現にも影響を与えることがわかった。 1.M-SSIの調製 SSIのグリシンバッファー溶液(pH2.0)に30倍量の水溶性のKoshland試薬を添加し、暗所で氷冷しながら2.5時間かく拌した。溶液を中和して、透析によって過剰のKoshland試薬を除去した。ゲルろ過でM-SSI分画を単離、凍結乾燥して精製M-SSIを得た。 2.M-SSIの二次構造と側鎖構造 M-SSIの骨格構造によるCDスペクトルから二次構造組成はintact SSIとほとんど等しいことが示された。しかし、Trp残基によるけい光スペクトルから、Trp残基の露出度はSSIの21%から34%へと増加し、Trp残基の局所構造はかなり変化していることがわかった。 3.M-SSIの変性 SSIが変性しない低濃度の尿素の添加によって、M-SSIは変性することが、アクリルアミドゲル電気泳動によって明らかになった。熱変性温度も5℃低下し、修飾によって変性条件に対して不安定になったことがわかった。 4.M-SSIの阻害活性 日本分光J-40自記旋光分散計のセル室にストプットフロー附属装置を装着して、酵素Subtilisin BP【N!´】による基質p-nitrophenylacetateの加水分解に伴う吸光度の増加を追跡した。ディジタルボルトメーターで計測したある時間での吸光度をコンピューター処理して、阻害活性を算出した。M-SSIの阻害活性はintact SSIより数%低下、Trp残基の修飾が阻害活性にも反映することがわかった。
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