研究概要 |
1.ヒトB細胞株のDNAを抽出し、ジェノミックライブラリーを作製した。既に得ているクラスII抗原DR,DQ,DP,DO,DX,SX各α、β鎖遺伝子対をプローブとして、ライブラリーを新たにスクリーニングしたが、新しいクラス【II】遺伝子または遺伝子断片を含むクローンは得られていない。 2.α、β鎖から成る遺伝子対の重複単位の大きさと境界を決定するために、DQ遺伝子対の遺伝子間領域をプローブとして他の遺伝子対クローンと、ハイブリダイゼーションを行なった。その結果DQ遺伝子対とDX遺伝子対との間に強い相同性が認められた。また ヒトの反複配列であるAluファミリーおよびKpnファミリーをプローブとして、ハイブリダイゼーションによってその分布を調べたところ、AluファミリーはDR,DQ,DX,DP,SXの各遺伝子対の内部に、またKpnファミリーはDQ遺伝子対に存在することがわかった。DQ遺伝子対とDX遺伝子対においてAluファミリーの配列が存在する場所は互いによく似ており、DQ遺伝子対とDX遺伝子対が、遺伝子重複によって形成されたのが、比較的最近であることが強く示唆された。この知見は、DQαとDXα、およびDQβとDXβ遺伝子の塩基配列に高い相同性があるという先に明らかにされた知見を補強し、ヒトMHC遺伝子領域が形成されてきた過程を考える上で重要である。 3.62年度は、HLAクラス【II】領域全体の大きさとその中に含まれる抗原遺伝子の数と配置についてより詳細に調べるために、ジェノミックライブラリーのスクリーニングを行ない、得られたクローンの構造の詳細な解析を進める。
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