研究概要 |
1.主として礁池内に生息しているナガウニのタイプA、および礁縁部で穴居しているタイプBの分布パターンを異なった季節に調査したが、顕著な季節的変動は認められなかった。 2.両タイプの活動パターンには明瞭な差が認められた。すなわちタイプAに属するウニは夜間頻繁に徘徊し、摂食活動をする。一定区域内の個体を除去しても、24時間後には多数の個体の侵入が観察できる。一方、タイプBのウニは穴から出ないことが予想される。例えば1m×1mの区域(40〜70個体が穴居)から全てのウニを除去した場合、3ケ月間は再侵入が認められなかった。1年後の観察においても1〜5個体が見られるだけである。タイプBのウニは穴がほられていないタイドプールにも生息しているが、そのような場所では夜間の満潮時に徘徊することが確認された。 3.ウニを除去した調査域において海藻の繁茂状態を観察した。穴がない場所では海藻の生育は認められなかった。礁縁部の穴が豊富にある地域においては、穴の内部における海藻の繁茂は顕著ではなかったが、穴の外はウニの有無にかゝわらず海藻が生育していた。 4.ナガウニによる生物侵食量の測定:測定方法を確立するためさまざまな実験を実施したが、野外における測定は極めて困難であり、室内実験で解明しなければならないことを確認した。侵食量は糞中に含まれているCa【CO_3】量を測定することで推定できる。 5.調査中、ナガウニに寄生している巻貝、ナガウニを捕食している巻貝を発見した。 6.最近、タイプC,Dの存在が報告されているので、それらの生態分布,行動についての予備調査を実施した。
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