研究概要 |
関東地方沿岸で採集したバフンウニを主な実験材料として使用した(採集旅費使用)。 1.活性蛋白の精製と分析 バフンウニ胞胚をCa,【Mg^-】欠除人工海水で処理すると、上清に細胞凝集活性をもつ細胞凝集因子複合体が遊離してくる。これをDEAEセルロースに吸着させ、0.5M NaClで溶出すると、細胞凝集活性をもつ糖蛋白部分が多糖部分から分離して溶出される。これをSepharose 4B,トヨパールおよび高速液クロによって精製した。精製標品は分子量約1000,000酸性の糖蛋白(pI=3)で、2.5%の中性糖,5.0%のアミノ糖,1.6%のシアル酸を含んでいる(高速液クロ用蛍光検出器,カラム,注射器,分子量マーカーを使用)。 2.Ca結合活性 この蛋白はCaの存在下で細胞凝集活性を示すが、それ自体Ca結合蛋白であることが、放射性Caを用いた実験で示された。Caとの結合はpH依存性で、pH8で極大となり、pH4以下では、ほとんど結合活性を示さない。また海水のpH(pH8)におけるCaの解離定数は3.1x10-4Mである。このpHプロフィールからγ-カルボキシルグルタミン酸(Gla)の関与が推定されたが、アミノ酸分析の結果0.5%のGlaが含まれることが判った。また、Cd,WarfarinなどのGla阻害剤が正常な細胞接着を妨げることから、Glaが直接細胞接着に関与していることが示唆された。 3.リセプターの分離 解離細胞のTriton X-100抽出物から、この蛋白のリセプターと考えられるWGA反応性糖蛋白を検出し、分離,精製を進めている(ブチル・トヨパール,カラムを使用)。
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