研究概要 |
HG(ヘキシレングリコール)によってウニ受精卵の分裂装置を形成する微小管が増え、大きくなることが知られている。 本研究ではこの点に注目して、極端な不等分裂であるヒトデ卵の極体形成時にHG-海水処理を行ない、分裂装置の増大によって、分裂溝の位置を人為的に変えて、等分裂に近づけるかどうかを試みた。ヒトデ卵を1×4にアデニン処理後、卵核胞崩壊ののち、2.5%HG-海水と連続処理を行った。処理前は明るい小さな点のようにみえた極体の分裂装置は、15分後にはやゝ大きくなって、位相差顕微鏡の形や位置がはっきりとわかるようになる。コントロール卵が極体を放出してしまったころ、処理卵の分裂装置はさらに大きくなって、2つの星系からなるように見えてくる。この時分裂装置の位置は、膜に平行か、垂直かのどちらかの位置をとっている。結果は3つの場合がえられた。1,垂直に位置しているものは、コントロール卵2〜3倍の直径(10〜18uk)をもつ極体を放出する。形成された極体の下方には大きな星系がのこっている。2,平行に位置しているものは、分裂装置が細胞膜に接近したまゝ大きくなる。分裂装置の中央,大きくなった星系のあいだにやがて分裂装置の膜に近い側から卵割溝が入り始め、しだいに溝が大きくなって、unilateval furrowを形成する。3,種々は、分裂装置が卵の中央で大きくなり、両方からくびれ始めて等分裂をするものも観察された。両方の割球に大きく発達した星系が存在していた。この3つの場合の割合はそれぞれ、約50%,45%,5%であった。分裂装置を単離してみると星系が処理時間に応じて大きく発達していることがわかった。 何故、3つの場合に分かれるのか、分裂装置の位置との関係をしらべるために、連続した観察を行ない解析しつつある。SDS,【D_2】Oなどを用いて、同様な実験を行なうよう準備中である。
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