研究概要 |
卵成熟(特に卵細胞質の成熟)に関与する卵核胞内成分の種特異性,及び卵核胞の単離方法について調べた。[1]種特異性 ヒトデ属3種,イトマキヒトデ,キヒトデとモミジカイの間で相互に、卵核胞内容物の交換実験を行った。その効果の検証は、正常卵母細胞に認められる 減数分裂に伴った卵表層変化(物理的性質)の周期性の獲得について行った。結果は、3種間においては、卵核胞内成分はいずれの組合せにおいても有効であり、種特異性は認められなかった。従って、少くともヒトデ属間では共通した因子が存在すると思われる。ただし、同種間では2回で完了する周期が、異種間では、余分な周期が数回に周って認められた。理由は現在不明であり、今後解明すべき点である。引き続き実験種の数を増やし、ヒトデ属以外の種についても調べを継続中である。[2]卵核胞の単離 今までに報告されている2つの方法について検討した。(イ)低調液処理による細胞破砕法 この方法は次の(ロ)に比較してより大量に卵核胞を単離出来る利点がある。方法により追試を行ったが、卵核胞の損傷が大きい、分画中に細胞質断片の混入が多く純度が上がらない の2点が解決出来ず、良好な結果は得られなかった。破砕液の低調度や成分組成をなお検討中である。(ロ)サイトカラシン処理一遠心法 この方法は、本研究者等により1981年に報告されているものであり、改めて再検討を行った。一回に入手出来る量は少ないが、細胞質断片の混入度は(イ)法より優り、ほぼ満足のいく方法であった。現在更に改良を加えている。この方法で単離した卵核胞内容物の有効性を、精子核の前核化について調べたところ、有効であることが判り、有効成分は、単離卵核胞内に保存されていることが確認された。
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