研究概要 |
1.結紮実験 アラレボヤのストロン(芽茎芽)を種々の時間帯に結紮又は解除することにより、Organizing centerの確立期を調べた。その結果、二つのセンターがつくられるためには、一定時間結紮し続ける必要があること,必要時間は、結紮開始が、切断後の15時間以後の場合、結紮開始が早いほど短くてよいことがわかった。このことは、センターの確立と、15時間目頃に始まり、30時間目前後で終了する"短小化"とが深いかゝわりあいを持っていることを示唆している。 2.組織学的研究 ストロンから成体が形成される過程を、末処理ストロンと結紮ストロンの双方で調べた。末処理ストロンでは26時間目前後に囲鰓腔上皮に肥厚が起こり、その部域はやがて消化管を形成する。30時間目前後に、消化管原基の対極に咽頭原基が形成され、45時間目前後で、囲鰓腔の鰓腔の分離が完了することがわかった。短小化期に結紮したものでは、内胞(囲鰓腔上皮の袋)は、しばらくの間、糸により中央部が著しく押しつけられているが、二つには分離していない。この時期に肥厚が起こっても、どちらか一方の袋だけ(つまり一か所だけ)で、双方の袋に肥厚が見られることはなかった。やがて、内胞が二分されると、それぞれの袋に肥厚が生じる。結紮実験の結果とあわせ考えると、内胞が単一なら単一個体、二つなら二個体が生じ、囲鰓腔上皮が連絡していると、その一部に生じたセンターが、同一内胞上に第二にセンターが生じるのを抑制していると考えられる。
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