研究概要 |
本研究課題に対して, (1)まず動物におけるBH_4の発見とその生合成の研究に関するReviewをかき, その問題点を示した. (2)またラット唾液腺のBH_4量の発生的変化をHPLCで測定し, 分泌機能のカテコールアミン関与による交感神経支配の生後成熟過程とBH_4量の相関性を示した. また唾液腺におけるBH_4合成の律速酵素GTP cyclohydrolase活性出現パターンとの相関性を認めた. (3)一方グルカゴン投与ラットの肝臓ではBH_4要求性フェニルアラニン水酸化酵素の活性化と呼応してBH_4生合成酵素であるSPR活性もtransientに活性化されることを見いだし, ホルモンによるBH_4の生成制御の例を見いだした. (4)次いでBH_4生合成経路におけるSPRの作用機構に関する研究を行った. SPRはNADPH-oxidore-ductaseとして知られ, BH_4生合成に必須な酵素である. SPRによるpyruvoyl PH_4のBH_4への還元反応の中間体はC2´-keto PH_4であるとされてきた. ところが今回我々は, SPRがcoenzyme非存在下ではC1´keto PH_4をC2´-keto PH_4に異性化するisomerase活性を有することを発見した. 次いでこのisomerase活性がNADPHまたはNADP+添加によって活性化されることを認めた. coenzymeによる活性化機構の解析から, BH_4生合成においてpyruvoyl PH_4がNADPH存在下SPR作用によってBH_4に変換される場合, まずC1´keto PH_4が生成された後, coenzyme結合によりSPRのisomerase活性が活性化され, C1´keto PH_4をC2´-keto PH_4に変換し, 続いて第二の還元反応によって, BH_4が生成するという新機構を呈示した. (5)このSPR作用の新機構の観点からBH_4生合成についての最近の問題点をReviewに示した.
|