研究概要 |
秋吉台南縁部ならびに東縁部において石炭・二畳系境界付近を中心に地質調査をおこない、同時に紡錘虫,小型有孔虫,四射サンゴなどおよび石灰岩の堆積相研究試料の採集をおこなった。(1/1,000縮尺のルートマップを作成)。野外地質調査では石灰岩の堆積相の垂直・水平方向の変化を追うことに特に注意した。また石炭・二畳系境界付近に知られている特異な黒褐色sparry calcite(長谷川,1963)の分布を追跡した。 この結果sparry calciteは石灰岩体の特定の層準を占めて発達していることがあきらかになった。さらに、下位のMillerella帯,Profusulinella帯,Fusulina-Fusulinella帯に大規模に発達したBiolithiteが問題のsparry calciteをはさんで急激に縮少し、上位のTriticites帯では(特にその下部は)小規模なものが散点的に認められるにすぎないことが判明した。このことは問題のsparry calciteをはさんで秋吉石灰岩の積成環境に大きな変化が生じたことを示すものとして注目される。 古生物群の変遷のうえでは勘米良(1952)が指摘した石灰紀型Triticites動物群を含む動物群はsparry calciteを含む一連の地層中の最下位を占めて産出している。したがって秋吉石灰岩においては、石炭紀最後期の化石を含む石灰岩は、上位の二畳紀型動物群を含む石灰岩と連続的に堆積したものであって、積成環境の急激な変化はその下位・Fusulinella帯石灰岩との間に存在する可性が強い。 今後秋吉石灰岩における一層詳細な研究を進めると共に、青海,帝釈,阿哲などの各石灰岩について比較研究を進める予定である。
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