研究概要 |
1.浜砂試料の採集 1986年8月19〜22日に、四国地方の60か所の海岸において、波打際の浜砂を採集した。県別の採集地点は、香川8,徳島9,高知24,愛媛19か所である。太平洋岸では、礫浜の発達が著しいが、試料は各地点における最も細粒の砂質部を採集している。 2.粒度組成 中央粒経値Mdの範囲は、-0.18〜2.84ψであり、1〜2Φの中粒砂が全体の63%、2〜3%の細粒砂が28%を占め、両者合せて90%に達する。粒度分布上、3つの堆積型が識別される。【I】型は粗粒砂で代表され分散が著しい。【II】型の中粒砂はよく分級され、ほぼ正規分布を示す。【III】型の細粒砂の分級はさらによくなるが、対称度において【III】a型と【III】b型に分けられる。 3.炭酸塩含有量 Ca【CO_3】含有量は、全試料の78%までが2%未満である。とくに、沿岸水の発達する瀬戸内海沿岸部において、2%以上は2点のみで、しかもこの2点は5%以下である。これに対し、太平洋岸の外洋水の影響下は足摺岬の5地点を10%以上、室戸岬先端の2地点で6〜8%を示す。 4.重鉱物組成 浜砂中の重鉱物は、細粒砂試粒(-60〜+115mesh)について、ブロモホルム重液(比重約2.9)を用いて分離した。このサイズにおける重鉱物含有量は、0.07〜31.8%の広い範囲に及ぶが、地域的には、室戸岬付近と四国北西部の松山以南に高い含有率が認められる。 重鉱物は、透明鉱物,不透明鉱物(主として鉄鉱物)及び変質鉱物とが識別される。透明鉱物と変質鉱物との間の逆相関は著しい。透明重鉱物の地域的分布では、瀬戸内沿岸,室戸岬の一帯,土佐湾西岸に高頻度があらわれる。透明鉱物の優勢種には、レソ輝石,普通輝石,緑褐色角閃石が最も普遍的にあらわれる。青緑色角閃石や陽起石(緑閃石)は、三波川結晶片岩を供給源とする地域に豊富であり、藍晶石や紅簾石などを随判することもある。
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