研究概要 |
四国中央部-東部秩父帯の緑色岩を約600個採集し, それらの岩石研磨片を製作して検鏡, さらに鉱物組合せを決定した. それらの広域的な分布は秩父帯北帯の北半部はリーベック閃石, エジル輝石, パンペリー石+アクチノ閃石などで特徴づけられ, 三波川変成作用の低温部のPA相とみなされるが, 南半部はプレーナイトーパンペリー石相に属することを示している. ただし, 両者の境界は断層である可能性がある. また四国東部沢谷地域では両相の分布は複雑で, 地窓状にPA相が秩父帯南半部に出現する. みかぶ帯から135Maの放散虫化石が層状チャートから抽出された(岩崎達, 1986)ので三波川変成帯の原岩である付加体の形成は135Maよりは若いはずである. 一方, 秩父帯北帯の付加体は160Ma頃には既に出来ていたはずで, その付加体が120Ma頃は不整合で前弧縁堆積物で覆われている. すなわち三波川変成作用のピーク時に秩父帯の付加体はすでに地表に露出していたことを示す. このことは秩父帯北帯のPA相と南帯のプレーナイトパンペリー石相の変成作用は時期の全く異なる変成作用であることを示す. 本年度は鉱物組合せの広域分布の解析と今までに記載された化石のコンパイルから以上の成果を得た. それと平行して塩基性岩の鉱物組合せとその組成の累進変化についての論文をアメリカ, イギリス, オランダの雑誌に投稿, 受理, 印刷された.
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