研究概要 |
1.珪素に直接結合する水酸基(OH)をもつ鉱物の構造的研究は多くなく、その結晶化学的性質も詳細には不明な事も多い。この理由の一つは、これ等鉱物の多くは、低温生成物であり、そのためX線単結晶回折実験に使用できる良質な結晶が得にくいことによる。我々は、pumpellyite系鉱物に主力をそゝぎ、X線実験に適する単結晶を求めつづけてきた。鉱物採集、そして他の方々からの御恵子の標本について、光学的、X線的に検定を続けている。クリスタルトランスファー.オプティカルアナライザー装置は、納入が遅れたが検定には能率を高めている。現時点、秩父産パンペリ石のみ単結晶実験にたえる結晶がみつかったが、他産地のものについては満足すべきものが得られていない。 2.組成上、珍らしい Mn-パンペリ石は粉末状でしか得られないことが判明し、現段階では単結晶実験は不適と判断せざるをえない。 3.購入した計算機を用いて、結晶構造解析用プログラムの整備を行ないつゝある。現在、計算機の記億容量が小さく、各種計算のプログラムは、ベーシックで書く必要がある。メモリー不足は深刻な問題で、計算も小型なものに限られることが明らかとなった。従って、継続申請が許可になれば、来年度、メモリー拡大のため、また諸計算のため、固定ディスクを購入する予定。 4.結晶の相転移に関連して、空間群論の一基本問題として「結晶軌道論を展開中である。特に平面群の特別軌道を、西独ヴォンドラチェックと恊同で導出してきた。対称が上昇した特別軌道の空間群と、それを生みだした生成空間群の晶系とが同一であるという制限もとりのぞき、より一般化したものである。尚、3次元で、同一晶系内という制限の下での特別軌道は、我々と、ドイツ,スイス,の3ケ国4名の恊同研究で導かれ、2eit.krist.の特別号として出版されている。
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