研究概要 |
四国中央部の三波川帯の泥質片岩分布地域の地質調査を行なった。その結果、泥質片岩中には3回の相異なる変形時期が区別された。中でも最初期の変形は三波川帯全体のE-W性線構造とは40-70゜位斜交する大局的にはNW-SE性の線構造を持つものであることが明らかとなった。この最初期の変形に強く支配されて砕屑性白雲母と炭質物が産出する。第2期〜第3期の変形によって炭質物は再配列するが、これには必ず細粒の黄鉄鉱粒を伴なっている。現在、これらの炭質物を分離し、分析し(HNユーダー)を準備中である。 泥質片岩の化学的諸性質を明らかにするため、螢光X線分析による微量元素含有量の決定の分析技術を確立した。Ba,Cu,Znには汚染が認められまだ定量分析は確立していないが、Sr,Rb,Y,V,Cr,Ni,Zrについては分析法が確立した。その他の元素については原子吸光分析装置を用いて、自動的に分析するよう、データ処理装置を買入し、自動データ送信および補正計算のプログラムを作成した。 さらに紀伊半島の三波川帯からは泥質片岩に挾まれた珪質片岩中に、希元素(La,Nd)を含む紅レン石が存在することが明らかとなった。この希元素は堆積環境の推定に有効であると思われるので、周囲の泥質片岩の希元素の存否についても確認すべく、試料を調整している。
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