研究課題/領域番号 |
61540592
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
鉱物学
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研究機関 | 北海道大学 (1987-1988) 島根大学 (1986) |
研究代表者 |
渡辺 暉夫 北海道大学, 理学部, 助教授 (40135900)
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研究分担者 |
鈴木 徳行 島根大学, 理学部, 助手 (00144692)
飯泉 滋 島根大学, 理学部, 教授 (80032639)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 三波川帯 / 泥質片岩 / シース褶曲 / チャートラミナイト / N(窒素)含有量 / 砕屑性雲母 / 融合テレン |
研究概要 |
三波川帯の泥質片岩は産状から、苦鉄質片岩とともに産するもの、砂質片岩の多い地帯に産するものに大別できる。共産する岩石の堆積環境から、前者は大陸地域からの物質の供給のあまりない、しかも海嶺・海山から物質の供給されやすい遠洋域が堆積場として想定される。後者は大陸域からの物質の供給が行なわれ易い堆積盆で形成されたと推定できる。前者の泥質片岩について、化学組成(主成分元素・微量元素等)、構成鉱物の研究、層状構造の研究などを行なった。その結果、Al_2O_3/SiO_2、K_2O/Na_2O、MnO/TiO_2など堆積環境の良い指示者と考えられている元素はかなり変動し、変成作用中の移動を考慮しなければならないものと思われる。C/NやN含有量も変動するが、これは剪断帯に沿う二次的元素の移動のためであろうと思われる。化学組成の検討からは遠洋性環境を指示するものもあるが、元素の移動性(変成作用中の)を考慮すると、このことから堆積場について結論は下せない。 構成鉱物の研究から、砕屑性の雲母・斜長石・石英・炭質物が含まれることが明らかとなった。典型的な遠洋性堆積物でないにしろ、陸域からはこれらの浮遊しやすい鉱物の辛うじて運ばれるような地域に泥質片岩の原岩は堆積したのであろう。シース褶曲の存在から、泥質片岩にはもともとラミナが発達していたことが推定された。 以上の検討から、この泥質片岩の原岩はわずかに陸域から物質が供給されるような遠洋域に堆積したとチャートラミナイトと推定された。そして強いシンプル・シェヤーの動く場へと運ばれた。砂質片岩中の泥質片岩の起原も考えると三波川帯は融合テレンである。
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