研究概要 |
1 小笠原諸島父島,兄島,婿島産ボニナイトについては、微量元素組成,ガラス組成に基づいて、それらの給源物質が枯渇したカンラン岩と沈み込みスラブに由来する熱水の2成分から成る可能性を示した('87 IUGG発表予定、投稿予定)。 2 四国北東部のサヌカイト類については、斑晶斜方輝石が地球上の斜方輝石では最もクロムに富むことを示し、その生成環境の特殊性を考察した('86 IMA・火山学会発表済、投稿予定)。この地域の高マグネシア安山岩について1気圧での相平衡関係,元素分配関係を明らかにする目的で、現在電気炉の較正をおこなっている。 3 能登半島付近の古銅輝石安山岩について年代測定,鉱物組成記載,岩石組成分析等をおこない、その噴出年代が28、20、15Maにわたること、比較的高い晶出温度を示すこと、ボニナイト,サヌカイト類とは異なり、比較的高いBa/Rb比を有することを明らかにした。これらの古銅輝石安山岩は水に富む初生安山岩に由来するのではなく、未分化玄武岩とデイサイト質マグマの混合で生じた可能性が高い('87 地質学会発表予定)。 4 祖母山地域の第三紀無斑晶質安山岩の試料採取および薄片約60枚の観察をおこなったがいずれも斜方輝石は変質しておりその組成を決定することはできなかった。これらの安山岩は厚い緻密な溶岩流として産し、斑晶斜長石,磁鉄鉱に乏しく、比較的高いMg/Fe比を示す等、同時代の瀬戸内岩石区のサヌカイト類と似た性質を有する。 5 北西九州伊万里,武雄地域の第三紀後期無斑晶質安山岩の試料採取および薄片約40枚の観察をおこなった。これらの安山岩は多量の玄武岩,流紋岩にともなわれており、後2者の混合で生じた可能性が強く、今後化学分析等を行いたい。
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