研究概要 |
野外における燐酸塩鉱物の産状調査、ならびに試料収集は主に高知市周辺部でおこなった。ここでは秩父帯、黒瀬川帯の珪質岩を調査し、燐灰石をはじめ、銀星石,カコクセン石,プラネル石,タラナキ石,ヴァシャギー石の6種類の燐酸塩鉱物の存在を確認した。また、長野県諏訪鉱山の温泉沈澱物中の燐酸塩鉱物、栃木県文挟クレーの粘土鉱床中の燐酸塩鉱物の調査もおこない、ティンティック石,トルコ石など我国初産鉱物を発見した。室内ではエネルギー分散型マイクロプローブによる化学分析と、グラファイトモノクロメーターを使用したX線粉末回折実験をおこなった。以上の実験より、プラネル石とトルコ石は化学組成が連続的に変化し、固溶体が存在することがわかった。また、ティンティック石は、大部分三価の鉄を主成分とするトルコ石グループの鉱物であることもわかった。 堆積岩ならびに粘土鉱床でのアルミニウムを主成分とする燐酸塩鉱物は、共存する黄鉄鉱の分解による酸性条件下で燐灰石と粘土鉱物の反応によって生成されることがわかってきた。
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