今年度の作業の中心は、まず永久歯の歯冠近遠心径や頬舌径が報告されている文献を集めることであった。これはほぼ初期の目標に到達したものと思われる。とは言っても、もちろん完全ではありえないので、今後さらに追加補充していく予定である。 備品としてデジタル・ノギスとフロッピーディスク収納棚を購入したが、前者は特に現代日本人の歯冠計測に用いられ、後者の収納棚もすでにフロッピーディスクを保存するために使用されている。また、大型計算機を使用して、データ入力のためのプログラムを若干作成した。 現在、集めた文献から、歯冠径の平均値や標準偏差をデータシートに書き写し、計算機に入力する準備作業を行なっている段階である。今後、データシートが完成し次第、集中的にデータを入力し、正準分析やクラスター分析等を用いることによって、歯冠径の地理的変異パターンを世界的規模で確認し、食性の地理的変異等との対応関係を考察する予定である。また、この過程で作成された歯冠径のデータファイルは、当初の計画通り、データベースとして公開する予定である。
|