研究概要 |
従来の静電場誘起光第二高調波法(dcSHG法)において用いられてきた溶液セルの構成における難点、セルガラスの三次の非線形光学効果に基因する光第二高調波の影響を除去するため、透明導電膜ガラスを採用し、dcSHG法の改良を行ないその有効性を確認する(昭和61年秋季応用物理学会)と共にその理論的解析を行なった(Jpn.J.Appl.Phys.投稿準備中)。具体的には、【u!〜】電子供給源およびドナー・アクセプターを有する有機分子に対して、誘電緩和法、ジェリーの屈折計を用いて基府状態の永久双極子モーメントΜπの測定、局所場補正のための誘電率、屈折率の測定を行ない、dcsHG法によるΜπと二次分子分極率βの積の測定結果からβを求めた。その結果、いくつかの有機分子でMNA(2-me+hyl-4-nitroaniline)に匹敵するβを有し、しかも吸収端が400nmをきる短波長側にあるものを見出した(特許出願を考慮中、その後、Chem.Phys.Lett.などに投稿予定)。一方、P-P-P法による分子軌道の理論計算を行ない、実験結果を説明する上で十分な計算結果を得た。 また、キャピラリー内融液凝固法を改善して、簡単なブリッジマン法によるMNAの単結晶ファイバー化に成功しており(【II】、研究発表の項参照)、現在、薄膜単結晶化による結晶軸の配向制御に取り組んでいるところである(昭和61年秋季応用物理学会)。今後の課題として、dcSHG法を適用するための溶液化が困難な有機非線形光学材料に対する新しい分子分極率測定法の開発、種々の粉末粒径を用意する必要がある粉末法の改良、おそらく、理論的扱いの改良,融液を用いない結晶育成法(薄膜光導波路および光ファイバーとして)の開発などが挙げられる。すべて、昭和62年度の研究課題でもある。
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