研究概要 |
1.減圧気相成長と不純物ドーピング ドナ-不純物としてInをド-プした結晶の特性を詳しく調べて次の結果を得た。In蒸発源温度T_<In>を350〜550°Cの範囲で変化させることによりZnSeエピタキシアル結晶のキャリヤ密度を10^<16>〜10^<18>cm^<-3>の範囲で制御できた。アンド-プの試料は高低抗であったが、T_<In>が400°C以上で抵抗率の低下が認められた。550°Cでn=1.3×10^<18>cm^<-3>、ρ=2.4×10^<-2>Ω°cmが得られた。T_<In>>500°Cでは、キャリヤ密度、移動度の温度変化が小さく、縮退半導体の特徴を示す。T_<In>=450°Cで成長した非縮退の試料のホ-ルデ-タの解析から、E_D=6.3meV、N_D=2.1×10^<17>cm^<-3>、N_A=1.7×10^<17>cm^<-3>が得られた。一方、アクセプタ不純物としてNをド-プした。成長雰囲気のH_2ガスにNH_3ガスを混合して成長させた試料には、2.793eVに浅いアクセプタに束縛された励起子の発光が、2.70eVにドナ-アクセプタペア発光が現れ、NH_3濃度とともに強度が増加した。NH_3濃度が1%程度以下では深い準位の発光は強くならない。ホトルミネセンスの温度依存性の解析から、NH_3を導入すると100meV程度のアクセプタ準位が発生することが明らかになった。 2.エピタキシアル層に含まれる歪の評価 GaAs基板上に成長したZnSe層には, 格子定数と熱膨張係数に起因する格子歪が存在し, その大きさは温度と成長層の厚みによって複雑に変化する. いろいろいな厚みの試料について80〜600Kにわたっと歪を測定し, 次の結果を得た. 厚みが0.2μmの薄い層はGaAs基板にコヒーレントに成長し, コヒーレンス性は低温まで保たれる. 4μmの厚い結晶は, 成長時にほとんど完全に格子緩和して無歪の状態で成長する. 降温するにしたがって熱膨張係数の差に起因する歪が発生する.
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