1.ZnSe/GaAs ヘテロ界面の評価 n-ZnSe/n-GaAsヘテロ界面をC-V法とDLTS法で評価して次の結果を得た。ヘテロ接合から0.2μm以上離れた領域ではZnSeの成長条件およびGaAs基板の特性から予想されるキャリヤ密度が観測されたが、界面近傍のZnSe側とGaAs側にはそれぞれキャリヤの空乏層と蓄積層が観測された。このキャリヤ分布は、ヘテロ界面での伝達帯の不連続およびオートドーピングや界面付近に局在するキャリア補償準位などで説明される。DLTS法の定常逆バイアス値を変化させて、界面近傍の深い準位の空間分布を調べた。界面から離れたZnSe中には、0.28、0.26および0.35eVのバルクトラップが検出された。GaAs側では0.80eVの準位が支配的であった。一方、界面近傍には空間的に局在し、ドナー密度の5倍以上のピーク密度をもつ準位が観測され、活性化エネルギーは場所によって0.6〜0.9eVと変化した。トラップ準位の特性はその周囲の局所場に影響され、局所場は格子歪に依存すると考えられるから、この活性化エネルギーの変化はヘテロ界面付近の不整合歪の空間分布に対応すると思われる。 2.原料供給化(vI/II比)と残留不純物 Nアクセプタの束縛励起子発光強度はvI/II比の増加と共に単調に減少し、V族元素のNがVI族元素のSeを置換したアクセプタ準位が関与した発光であることが裏付けられた。一方、残留ドナー不純物が関与した束縛励起子発光強度はVI/II比=1付近で極小を示し、その前後で増大することが認められた。この実験結果は、残留ドナーの起源がVI/II比で変化し、低VI/II比ではVI族格子点が関与(VII族不純物、Se空格子)、高VI/II比ではII族格子点が関与(III族不純物)したものであることを示しいる。
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