研究概要 |
61年度は準安定超伝導体粒界のモデルとしてS-N-S接合集合体とNb系超微粒子集合体について実験した。その結果以下のことが明らかになった。 1,S-N-Sタイプでは、粒界抵抗と形而学的特徴が明らかにされ、Tc以下の特性が粒界の抵抗に依存していることが実験的に明らかになった。粒界部は多くの超伝導ループが形成されている領域が存在しこの部分がピニングセンターとなっている。また、R-T特性において生じた周期的抵抗の減少は、ループ構造制御が不十分なため構造との関係はまだ立証していない。 2,Nb系超微粒子集合体は新しいスパッタイオン装置の完成により以下の事実が明らかになった。 (1)スパッタ現象の圧力依存性より気相中における粒子生成には臨界的圧力が存在することが明らかとなった。 (2)粒子は正,負イオンよりなっているが負イオンが多く、粒子サイズは平均250【A!°】であった。 (3)Nb粒子集合体抵抗の温度依存性測定より、粒界部の抵抗は、サーマルサイクルにより増加する場合と減少する場合があり、金属的伝導を示すものは超伝導転移温度以下で著しい起電圧を発生する。この超電圧は特定の分布を持ち超伝導と関係していると考えられる。 3,最近の新超伝導物質発見に関連してLa-Sr-Cu-O系超伝導体を合成し、14【C!°】で超伝導状態にあることを確認した。超伝導は粒界に存在しネガタイプのジョゼフソン接合集合体となっている。今後この系の粒界の特性を早急に解明しなければならない。
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