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1986 年度 実績報告書

電子およびプロトン移動に基づく機能性素子の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 61550027
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

三谷 忠興  岡崎共研機, その他, 助教授 (50010939)

研究分担者 稲辺 保  岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20168412)
那須 奎一郎  岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (90114595)
キーワード電荷移動錯体 / プロトン移動 / 中性-イオン性相転移 / 水素結合 / トンネル効果 / 機能性素子
研究概要

有機物質を素材とした素子開発を目的として、電荷移動型錯体における中性-イオン性相転移現象に着目した新しい機能性の追求と実用化への可能性を探索した。この相転移点近傍では、種々の物性が特異な挙動を示すことは既に確認していたが、相転移点における電導性を詳細に研究した結果、負性低抗に由来するスイッチング現象が生じていることが始めて発見された。しかも、この現象が極めて低電圧印加で生じることは、この錯体を応用した素子化への可能性を開くものとして大いに注目される。さらに、光照射によって新たなスピンの生成も確認された。同時に、相転移近傍では光電流も千桁以上も増大することが見い出された。これらの特異な物性はそれぞれが独立したものではなく、互に競合ないしは協力しながら生じていることが、詳細な相図を求めることによって明確となり、基礎物性の観点からも大いに注目されるに至った。
本研究では、このような特色ある素性を最大限に活用するために、相転移を誘起する電荷の担い手として、電子ばかりでなくプロトンにも着目して、より高度な素子機能の開拓も遂行している。分子間に水素結合を有する電荷移動錯体(キンヒドロン結晶)を対象として、高圧下における赤外および遠赤外吸収スペクトルを測定し、それを解析した結果、水素結合におけるプロトンのトンネル効果に由来した新しいタイプの相転移が生じていることが判明した。ここでは、電子とプロトンとが連動して集団的な運動を行っていることが確認され、常温における量子効果を利用した新しい電導機構としてこの運動を活用できるものと期待される。さらに、分子内水素結合を有する種々の錯体を合成し、その物性を調べたが、その中にかなりの電導性をもつ錯体が見い出され、さらに化学的改良を加えることによって新しい型の有機金属が合成し得る可能性が高まった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] T.Mitani: Phys.Rev.B. 35. 427-429 (1987)

  • [文献書誌] T.Mitani: Synthetic Metals. 19. 515-520 (1987)

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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