1 薄膜の合成法と合成条件の検討 周波数6MHz最高出力15KWの発振器で発生させた5000K以上の超高温アルゴン高周波誘導プラズマ(ICP)に、金属塩の水溶液を霧状にして送り込み、ICP中に置いた石英基板上に酸化物薄膜を生成させる。基板は、均一な膜厚の薄膜を得るために首振り回転装置で駆動されるスラージに載せ、ICPにより600〜1700℃に直接加熱される。 2 相の同定と副成分の影響 (1)Zr【O_2】薄膜ー膜成長は正方晶Zr【O_2】(t-Zr【O_2】)の生成によって開始し、30mm以上の膜厚では単斜晶Zr【O_2】(m-Zr【O_2】)となる。100nmまでは透明な膜が得られ、それ以上になると透明度を失い、1μm程度の膜厚では柱状の膜となる。3mol%-【Y_2】【O_3】を添加すると生成膜はt-Zr【O_2】となり、10mol%-【Al_2】【O_3】の添加は膜を生成せず、超微粒子の集合体となる。 (2)【La_2】【O_3】薄膜ー(002)面が著るしく成長した膜が得られる。 (3)NiO薄膜ー(200)面の成長が大きい。超微粒子の集合体ではなく、完全な薄膜として成長している。 (4)【Co_3】【O_4】薄膜ー薄膜とはならず、大きく成長した粒子の集合体である。 (5)【Cr_2】【O_3】薄膜ー非常に強固な薄膜を形成する。しかし、同じ条件で生成する超微粒子は、直径約1μm×厚さ約0.1μmの円盤状で、配向性を持つ事が期待されるのに対して、薄膜の場合は配向性が認められなかった。 3 今後検討すべき項目 (1)対象とする薄膜の種類を拡張する事。これには多成分系薄膜も当然含む。 (2)微粒子の集合体となるような、例えば、【Co_3】【O_4】の場合でも薄膜となるような生成条件を検討する事。 (3)薄膜の物性測定
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