研究概要 |
本研究では高温・高圧衝撃波を用いて(超)微粒子の生成や化学反応による材料合成をおこなう方法を提案し, 衝撃波現象の計測から合成法の基礎情報を得ることを目的とした. 当初の計画では, ルビーレーザを集光して短時間のマイクロ衝撃波を発生させる予定であったが, 現有のものでは所要のパワーが得られず, そのかわりにレーザ光の千倍以上のエネルギーを持つ衝撃電流源(10KV, 100μF)を製作し, 導線爆発によって衝撃波発生をおこなうよう計画を変更した. 丈夫でガスの置換等も行える試験容器を製作してその中で導線の種類, 長さ, 雰囲気等を変えて爆発実験を行い, 衝撃波が充分な強度を持つことを確認した. 衝撃波伝播履歴を電気的に計測し, 導線から数+mmの範囲で伝播速度約2Km/s, 波面圧力約50気圧の値を得た. またレーザ影写真の撮影から, 波面のすぐ後方に導線の微粒子とみられる雲状のものを観測し, 実験後に電極から垂れ下がっている大量のすすの生成の核となることを推定できた. またすすの生成過程も数駒のレーザ写真から明らかになった. つぎに, 同じ過程について分光写真計測を行った. 時間分解の分光写真を撮影するため数+Jのパルス電流源を製作し, 大きなベルデ定数を持つガラスのファラデー効果により半値幅2μsの高速光シャッターを実現した. 銀線等を用いた試験から爆発後の微粒子生成がかなり早い時期に起こるなどの有用な知見が得られた. 最後に気体中衝撃波を微粉体中へ入射させる試験をおこなった. 入射衝撃波面速度, および粉体・気体境界面速度の同時測定をおこない, 微粉体の圧網状態などを明らかにした. 以上, 微粒子生成等への衝撃波の利用について基本的な多くの知見が得られ, その可能性, 有効性が示された.
|