研究概要 |
三次元物体上の剥離流れは多様な様相を示すことは自明であるが、現在でも十分な実験例が得られているとは言い難い。本年度は実験に重点を置き、とくにOPEN SEPARATIONからCLOSED SEPARATIONへの移行の可視化と静圧測定を行った。 1.電解法(フェノールフタレイン)の新しい適用:風洞での表面流線の可視化は油膜などの塗布を必要とし、また水槽においてもローダミンが塗布されるが、流線はそれほど鮮明に出ない。本年度において、フェノールフタレインのアルコール溶液を模型に塗布し、水槽での可視化が鮮明,容易に行えるような手法を得た。表面曲線が放物線の模型の表面の絶縁塗料を任意間隔で剥がし模型全体に電流を流すと、はがれた部分から発色線が後方に伸び表面付近の流線ベクトルが可視化されるわけである。ポテンシァルの理論値と10度以上の差はあるがOPEN型からCLOSED SPARATIONへの移行迎角が詳細な表面流線パターンとともに測定確認できた。また従来、教科書的に伝えられて来た電解法に使われていたカセイソーダなどは我々の実験では必要なかった。さらに従来、指適されていなかった新しい知見としては、実効迎角がかなり設定迎角より小なことや、放物体背後のいくつかの縦渦の中または一次剥離線の背後に沿い前方に在ると思われる吸込へ向かって後端から流れが向かうことなどが重要と思われる。また発色終了後電圧を数十ボルトに上げると水素気泡が発生し、物体表面付近の小さい縦渦と交番的に流れ去る縦渦群が確認された。 以上をビデオ撮影することにより実験の観察をくり返せ動的考察が向上した。2.風洞実験での静圧測定 61年度に備品として購入の圧力変換器を用い風洞(一様流速=約12m/scc)での放物体模型について静圧測定を行った。その結果、ほぼ一次および二次剥離線に挟まれた領域で圧力分印が平担になることが確認された。 尚1,2への数値的予測が試みられている。
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