研究概要 |
実験:既存の低速風洞に増設したノズル風路,可変高さの供試矩形断面風路,円柱後流の流体力学的検定を行い、実験目的の達成可能なことを確めた。この流路に生じる三次元流の速度ベクトル測定は進行中で結果を纒める段階に至っていない。しかし、上記供試風路の準備,検定に並行して本研究課題と非常に類似した渦や後流の流動様式を含む三次元流--流路壁から主流へ垂直に流出する噴流に誘起される三次元流--において、単一傾斜熱線プローブによる平均速度ベクトル測定用として考えた熱線出力処理法と測定結果からつぎの成果と知見を得た。データ処理では三次元流れ場の合速度,ピッチ角,ヨー角を単一傾斜熱線プローブ出力のパソコン処理で機械的に求めるため熱線応答式から導かれる非線形連立方程式の解析的解法を二種工夫し、上記の大速度変動を伴う三次元流測定へ試用した。熱線出力の時間平均が必須なこと;合速度,ピッチ角,ヨー角を未知量とするより三速度成分を未知量とする方が良い場合があること;速度変動が大きい流れでも定性的に正しい速度分布を得ること,等を知った〔「11.研究発表」の第1,2報参照〕。 解析:本研究課題におけるインレットデイストーションの原因となる要素を含み、非常に類似した構造をもつ三次元流--矩形断面流路壁から主流へ垂直に流出する噴流に付随する一対の逆方向回転渦糸からの誘導速度と流路壁の空力的干渉のため主流に生じる三次元流--の速度分布をビオ・サバールの法則を用い解析的に求めた。とくに渦糸が主流へ垂直な断面や流路壁面に誘起する速度から求めた等速線は定性的に実験と一致し、この解析方針を本研究課題の場合へ拡張出来ることを知り、現在計算を進めている〔「11.研究発表」の第3報参照〕。上述の拡張にさいし流路壁面境界層に起因する二次流れを模型化した渦糸の位置,渦核の実験的決定とその導入,という問題を解決する必要があると考えている。
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