研究概要 |
衝撃荷重に対する機械や構造物の破損防止の問題は、実際上、重要であるとともに、耐衝撃設計法を構築するためにも重要な課題となる。このためには、二物体衝突時の衝撃接触端の変形挙動およびそこから発生する衝撃力を知る(予測する)ことが基礎的にして重要となる。当研究室ではこれまでに、截頭円すい形状の種々の凸状端を有する衝突棒を、硬質材からなる弾性平面壁へ衝突させる方式の一連の実験研究および理論的検討を行った(日本機械学会論文集、49巻448号、50巻460号、52巻476号、材料、34巻387号、他)。またこの研究のためには、衝撃接触端から発生する衝撃力波形を精度よく検出する必要が生じ、このために検力板衝撃力測定法を開発した(Exp.Mech.,Vol.24,No.4,1984)。 本研究年度では、その研究計画にそって、これまでの実験材質(アルミ材)とは材料特性が大きく異なる電磁軟鉄棒を実験材料に選んで実験研究を継続して行った。その結果、次のような主要な点が明らかとなった。(1)電磁軟鉄棒の場合も衝撃端の変形部は円すい台状となり、その頂角θ'は変形前の先端直径d_1には依存せず、変形前の先端頂角θによって定まる。(2)衝撃接触端から発生する最大衝撃力Fmaxを変形後の衝撃接触端の面積S_1で除して求めた平均応力σ_1は、変形前の先端頂角σのみにより定まる。(3)Fmaxを先端部分での変形部と未変形部の境界面の面積S_2で除して求めた境界面の平均応力σ_2は、変形前の先端頂角θおよび先端直径d_1には依存せず一定となる。(1)と(2)の結果はアルミ材の場合と本質的な差違はないことから、アルミ材とは材質が大きく異なる電磁軟鉄材の場合においても、アルミ材の場合と同様な手法で理論式を展開でき、その式を適用できることを確認した。球状端を有する電磁軟鉄棒による実験も行い、截頭円すい状端の場合との比較検討を行った。
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