研究課題/領域番号 |
61550091
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
上田 完次 金沢大, 工学部, 助教授 (50031133)
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研究分担者 |
遠藤 勝義 大阪大学, 工学部, 助手 (90152008)
杉田 忠彰 金沢大学, 工学部, 教授 (70019769)
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キーワード | 切削工具欠損 / 工具欠損寿命 / 工具寿命予測 / 欠損回避 / 適応制御 / 予測制御 / CNCシステム |
研究概要 |
切削加工システムの自動化、最適化を推進する上で、システムの各種の異常への対策が重要な課題となっている。その代表的なものが工具欠損であるが、その対策としてはこれまで、例えば、欠損の前駆現象を事前に検出し、切削作業の停止や工具交換を行うことが試みられている。しかしながら、欠損は極めで突発的な劣化事象であり、その前駆現象をとらえることは非常に困難である。本研究では、工具欠損の解析的予測を援用して、加工システムに欠損回避機能を付与することを目的としている。 そのため、まず破壊力学の概念に基づき欠損寿命(欠損に至るまでの断続切削回数)関数の定式化を行うとともに、必要となる基礎データを求める。ついで、欠損回避機能を付与する適応制御アルゴリズムを開発する。また、CNC施盤を用いてシステムを構成し断続切削実験を行い、提案する手法の有効性を評価する。 その結果、次の諸事項が明らかにされた。 まず、超硬、ジルコニア及びアルミナ系セラミック工具の疲労破壊靭性試験を行い、疲労き裂伝播速度パラメータを測定し、破壊力学の手法により工具欠損寿命関数を定式化した。ついで、欠損回避機能を付与するために、欠損寿命関数を用いて、欠損回避を制約条件、切削条件を制御変数、評価関数を単位材料除去速度とする制御アルゴリズムを開発した。そして、CNC施盤とインプロセス切削力測定系、マイクロプロセッサからなる欠損回避システムを構成し、中炭素鋼の断続施削実験を行ったところ、溶着性の欠損が生じる低切削速度条件を除けば、本システムは有効であった。また、本システムの採用により単位加工時間が少なくとも14%短縮されることが分かった。以上のように、本研究の本年度の目的はほぼ達成されたと思われ、次年度も引き続き研究を進めたい。
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