研究概要 |
本研究は, 多くのセラミックスが硬脆性材料であり, その破壊特性が線形破壊力学に従うことに注目して, そのころがり摩耗機構を破壊力学的に解析し, 多くのセラミックスに共通して用いることのできる統一的摩耗パラメータを理論及び実験により明らかにすることを目的としている. 昭和61年度および昭和62年度の研究で得られた主な研究成果を以下に列記する. 1.セラミックスのころがり摩耗は, 表面き裂の水平伝ぱによる板状摩耗粒子の形成により進行すること, 及び摩耗の形態は, 摩耗粒子の大きさにより, 大規模摩耗と小規模摩耗に分けられることを実験により示した. 2.ころがり摩耗下の摩耗面上に垂直表面き裂が存在する場合, 一定の深さのき裂が優先的に伝ぱしやすいことを理論解析により示した. 3.ころがり摩耗下の垂直表面き裂は, き裂面間の摩耗係数が大きい場合(無潤滑下に対応)には, モードI型のき裂伝ぱの可能性が高く, ころがり摩耗面およびき裂面間の摩擦係数が小さい場合(潤滑下に対応)には, モードII型のき裂伝ぱの可能性が高いことを理論解析により示した. 4.セラミックスのころがり摩耗評価に有効な無次元パラメータSC(〓Po√<Rmax>/KIC)を理論解析にもとづいて提案した. ここではPoは最大ヘルツ圧力, Rmaxは, ころがり摩耗面の最大高さあらさ, KICはセラミックスの破壊じん性である. 5.セラミックスのころがり摩耗における摩耗率Wは, 上記4のパラメータScにより, W=α・Sc^nの形で統一的に整理できることを示した. 6.セラミックスの大規模摩耗-小規模摩耗の遷移条件は, 上記4のパラメータScを用いて表されることを示した.
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