歯車工作法の歴史は、周辺技術の進展を強く反映したものである。現在の数値制御技術や本研究のテーマであるCBN研削技術の進展は、歯車研削盤の構造や、研削方法にまで根本的な影響を与え得る可能性を持っている。本研究の目的は、ハイポイド歯車のように大量生産されるかさ型歯車の直接創成方式でのCBN研削の試行を通して、この研削方法の諸問題を抽出し、その解決法を探ることである。本年度の成果は次の通りである。 A)直接創成方式における砥石歯車形状の要件の解明 【i】)ハイポイド歯車では、歯すじ曲率と歯の傾角に要件がある。 【ii】)かさ歯車では、被削歯車、砥石歯車共にその歯すじは特殊な形の場合にのみ、直接創成方式の可能性がある。 【iii】)かさ歯車での可能性を広めるため、車軸が変位する新しい概念を持つ軸変位歯車の研究解明の方向に研究を進める必要がある。 B)研削装置の設計と試作 【i】)ハイポイド歯車の一方を被削歯車、他方を砥石歯車とし、車軸が微小変位する高速研削機械装置の設計を行ない、当研究室で製作に入り、現在ほぼ80%まで完成させた。 【ii】)歯車直接駆動装置の制御回路の部分実験、回路の設計は終了。 C)不揃いな砥粒切刃群を持つCBN砥石歯車の製作 市販ハイポイド歯車を基台としたCBN電着砥石歯車の試作した。砥粒切刃群をできるだけ揃える方法の検討、基礎実験などを行なった。 D)研削条件などの調査 平行軸歯車のホーニング加工、ブランジ研削加工、歯車直接駆動方式の諸条件や問題点などの調査を行なった。
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