研究概要 |
本年度は最終年度であるので, 昨年度の研究成果を基とし, 更に, 単体のセラミックス球がセラミックス軌道面を転がる際に発生する転がり摩擦力について, 次のような実験及び検討を行った. 1.球が平面軌道を転がる際の転がり摩擦力に及ぼす表面粗さの影響について調べる. 2.球が溝角90°のV溝軌道を転がる際の転がり摩擦力の実測値と, 差動すべりから導いた理論計算値とを比較する. 実験試料としては, 球にはアルミナセラミックスを用い, 軌道面は炭化けい素, 窒化けい素, アルミナセラミックスの3種類を用いた. また, 平面軌道の表面粗さは, Ra0.2μm〜Ra1.0μmの各種のものを用いた. 実験結果を以下に示す. 上記[I]については (1)表面粗さが大きな軌道面ほど, 摩擦力変動及び転がり摩擦力は大きな値になる. この場合, 摩擦力変動は転がり摩擦力の10倍程度の大きさになる. (2)軌道面に潤滑剤を塗布した場合は, 潤滑剤の粘度によって転がり摩擦力の値は異なり, 粘度が小さいほど, 転がり摩擦力は小さくなる. 次に上記[II]については, (3)V溝軌道の場合の転がり摩擦力の実測値は, 垂直荷重WのW^<4/3>に比例したが, これは差動すべりから導いた理論計算式とほぼ一致した. (4)3種類のセラミックスの中で, すべり摩擦係数の大きなものほど, 差動すべりも大きくなるため, 転がり摩擦力にもその傾向がみられた. (5)潤滑効果については, 平面軌道の場合と同じ傾向を示し, 3種類のセラミックス材料による転がり摩擦力の測定結果には著しい相違はみられない.
|