研究概要 |
スティック・スリップ現象は, 摩擦の速度特性によって決定されることがわかってはいるが, その詳細については不明な点が多い. 特に摩擦の速度特性と潤滑剤の性状との間の関係についてはほとんど明らかにされていない. 本研究は, スティック・スリップに及ぼす潤滑剤の影響と, 摩擦の速度特性解析の2つを目的をして行なったものである. 初年度(昭和61年度)において行なった内容は以下の通りである. 1.ボール・オン・ディスク型スティック・スリップ試験機の作成. 2.一定速度におけるスティック・スリップ発生限界荷重を求め, 評価の指標としての解析. この結果得られた知見は以下の様である. 1.一枚のディスクでも場所の違いによる微妙な表面性状変化が結果に大きな影響を与えるため, 試験片の調製, 表面研磨には細心の注意を払う必要がある. 2.粘度指数向上剤として入れられる高分子化合物は, それ単独ではスティック・スリップ特性にさほど大きな影響を与えないが, 油性剤と共存させると油性剤の働きに大きく影響を与える. また, 次年度(昭和62年度)においては摩擦の速度特性解析を行なうべく試験機の改造とコンピュータによるデータ処理システムの確立を行なった. その結果得られた知見は以下の通りである. 1.摩擦の速度特性解析により求まった, スリップ時の最高速度域における摩擦係数(μk)は, 潤滑油の粘度増大につれ低下するが, ある程度以上粘度が増大すると逆に大きくなっていく. 2.μkとスティック・スリップの振幅との間に相関が認められた.
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