ポンピング作用を伴なう非接触シールについて数値解析と実験を行なった結果、次のことが明らかになった。 1.静止状態では二面は部分的に接触している。 2.回転速度が増加するとレイリーステップ効果によってすきまが形成されて非接触状態になり、さらに速度が増加するとすきまは大きくなる。 3.静止時には主としてポンピンググルーブを通る漏れが生じる。 4.回転速度の増加につれてポンピング効果によって漏れ量が減少して負値となる。しかし、さらに速度が増加するとすきまが大きくなるため漏れ量が増加して正の値をとる。すなわち、ゼロ漏れ状態を実現できる限界回転速度が存在する。 5.漏れ量が負(送り込み領域)である限界回転数は、ポンピンググルーブの円周方向長さが長く、バランス比が大きいほど大きい。 6.本シールの密封能力は、すきまの等しいねじシールより少し低いが、レイリーステップ効果による高い剛性を利用して小さいすきまで作動させれば、極めて高い密封能力を発揮する。 7.低圧側が空気の場合に、送り込み領域で作動させると漏れは生じない。 8.本シールを適切に設計すれば高圧の流体をゼロ漏れ、ゼロ摩耗状態で密封できる、極めて信頼性の高いシールが実現可能である。
|