研究概要 |
旋回を伴う半径方向外向き流れは, 正の圧力こう配に抗して流れるため本質的に不安定であり, 時間的あるいは空間的な外乱に対して容易に非軸対称な流れに移行する. 本研究はこの様な旋回外向き流れの安定性と, 安定なフローパターンの解明を目的として, 羽根車と平行壁ディフユーザからなる実験装置を製作して, 流れ角度を0°〜90°間の広い範囲に変化させたときのフローパターンの変化を系統的に解明したものである. 得られたおもな結果を要約すると以下の通りである. (1)旋回外向き流れは, 入口流れ角α_2=15±1.6°を境として2つの異った流れパターンがある. α_2がこの値より小なる領域では旋回失速に基づく時間的非軸対称流れが, またα_2が大なる領域では絶対速度が周方向に変動する空間的非軸対称流れが安定なフローパターンであり, 後者では流れ角度に関しては周方向にほぼ一様と考えてよい. (2)時間的な非軸対称流れにおいては, 人口流れ角α_2が増大しても旋回失速の周期はほとんど変らず周期T=0.56(S), コア数1の状態を保つが, α_2が15°±1.6°の範囲に入ると人口条件のわずかの差異により周期が急激に変化するようになり, T=0.56〜∞(S)の値をとる. この場合, 速度変動の振幅は半径方向に減衰することなく全域でほぼ一定の大きさをもち, また位相は半径によらず角度θのみの関数となる. (3)空間的な非軸対称流れにおいては, 人口流れ角が15°【less than or equal】α_2【less than or equal】40°の範囲ではほぼ軸対称性の良好な流れとみなせるが, α_2【greater than or equal】40°になると羽根〓出口直後に著しく大きな環状3次元逆流域が形成され, その排除効果により流れ角が内周側で大きくなる. またこの逆流域が消滅した外周側では, 入口流れ角α_2の増大とともに流れの空間的非軸対称性が増大する.
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