比較的小口径用のうず流量計は、閉塞効果の強い円管内の流れの中にうず放出体を置く構造となっている。従って、本研究では、うず流量計の測定精度の向上のために、うず放出体を円柱と単純化し、円柱表面に働く非定常圧力分布と円柱下流の非定常速度場を測定した。更に、この測定結果から円柱に働く非定常流体力(揚力)と放出されるうずの構造の特徴を明らかにした。実験で用いた円柱と円管の直径比β(絞り比)は、0.204から0.510までの4種類であり、詳細な測定は、市販のうず流量計を想定して、β=0.306の流れに対してなされた。得られた主な結果は次の通りである。 (1)円管の閉塞効果により円柱上非定常圧力は、β=0.306のとき最大振幅となる。一方、β=0.510では圧力の変動はきわめて小さく、明確なうずが放出されていない。 (2)円柱上の非定常圧力分布は、はく離点近傍で最大となる。この圧力分布形状は、円柱スパン中央部の約半スパンにわたって同一の形状をしており、二次元的な分布となっている。しかし、円管壁近傍では急速に減少する。 (3)一方、円柱に働く局所非定常揚力の大きさは、スパン中心から円管壁にかけて漸減し、圧力分布よりも強い三次元性を示している。局所揚力の位相は円柱スパン方向に全く変化しない。 (4)円柱下流に放出されるうずは、通常のカルマンのうず列とは異なり、円管の閉塞効果により交互に向きを変えたうずが直線上に配列される構造を示す。また、うずの円柱スパン方向の長さは約半スパンであり、円柱上非定常圧力分布の結果と一致している。 (5)局所非定常揚力の大きさは、流れのレイノルズ数Reにより大きく変化し、Re【〜!〜】【10^4】で最大値0.78を示す。
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