研究概要 |
着霜は低温環境下で運転される空気熱交換器において不可避の現象であり熱効率上からネカティブなものである. 冬季に暖房運転される空気熱源ヒートポンプのシステム効率を向上させる上で, つぎのような2つの問題が追求されなければならない. 即ち, (r)着霜を伴う熱交換器の特性, (2)構成要素として熱交換器を組み込んだヒートポンプシステムの, 着霜下での動特性 本年度は, 熱交換器の設計および運転条件の最適化を計る基礎として, (1)の問題を実験的, 理論的に追求したものである. まず実際のエア・クーラーに近いものとして, 4列からなるフィン付管群形熱交換器を用い, 各列における熱・物質伝達率および管群全体における圧力損失に及ぼす着霜の影響が研究された. 具体的には, 霜層の成長が, 空気中の水蒸気濃度の流れ方向の低下のため局所性があることを含め, 各列での熱伝達効率および管群の圧力損失が各列での霜層成長と関連づけて解析された, ここで熱伝達効率は, 未着層時に対する着霜時の熱伝達率の比として提議されるものであり, 着霜により熱交換器の機器形状そのものが変化し, 熱的・流力的な影響がすべてにこの形状変化に含まれるとした考え方である. さらに, ここでの解析により, 並流形に比べて空気と冷媒が向流形である方が, 熱交換器の伝熱面上への霜層成長が均一であり, かつ密となるため, 熱効率が高くなることが明らかにされた. 以上により, 着霜を伴う熱交換器およびヒートポンプシステムの最適化を追求する上での基礎が確立された.
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