研究概要 |
昭和62年度の研究実施計画のうち(1)生体系における各種対向流型熱・物質交換形態の調査および分析, (2)生体系における熱・物質交換形態の整理・体系化および解析モデル化については迷網系をはじめ各種器官でみられ対向流型系が主要であり, 能動輸送は生体膜とある種の酵素および化学ポテンシャルの交幡作用による制御機能があり, 熱および物質交換形態のモデル化はある程度出来つつある. しかし多様性があり一般モデルには一工夫を要しよう. (3)生体系における熱・物質交換の主機能に関する解明のうち, 3・1生体膜における熱・物質的交換機能の解明については前年度から継しているループ型対向流路における数値シミュレーションを行い, 物質輸送方程式を導入し, 隔壁も生体膜を模し, 工学的熱交換器とも比較しながら, その特性を明らかにした. 計算は生体膜自体の物性値やその依存性が不詳であり, 引き続き検討する必要がある. 計測に関してはホログラフィ干渉法による温度場の計測が可能となったので, 来年度は三次元温度場や熱伝達率など定量的に評価できるものと思われる. 流速に関してはレーザー励起螢光法によるトレーサ法や減衰法を利用することの可能性がある程度明らかになったので, これを生体系内の血管中や胞肺中の流れに応用することを来年度は実施する. 3・2と3・3のセンシング機能と情報伝達系および制御系については後者の伝達系と制御系はある程度解明できつつあるが, センシングについては不明な点が多い. センシングは工学的興味も強いので来年度はとくに解明に努力したい. 3・4能動機能の増倍現象機能の解明は3・1と3・2の結果に負う処が大きいので今後の課題も残っているが, 生体膜の特異現象にその体質があるようで, その生起と継続, 停止の機能と能動ポテンシャルエネルギの得失機能を明らかにしたい. 4.生体系における熱・物質交換システムの検討に関してはブラックボックス的考察から解明している.
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