研究概要 |
エンジン内での乱流燃焼の速さや火炎伝ぱ限界と密接な関連を有する, 予混合乱流伝ぱ火炎の微細構造の解明は, エンジン内燃焼の制御やそのシミュレーションモデル作成上重要な課題である. 本研究は, 予混合乱流伝ぱ火炎の微細構造を明らかにするために, 混合気の特性値(層流火炎反応域厚さ, 層流燃焼速度, 酸素濃度)及び乱れ場の乱れ強さを, それぞれ単独に変化させた燃焼実験により得られた乱流火炎シュリーレン像の画像解析結果と, その解析のための基本的な考え方を示す. 球形に近い定容燃焼実験装置の中心部に, ほぼ等方的な定常乱れ場を作り, 中心点火により燃焼実験を行った. 実験に用いた5種類のプロパン混合気は, 上述の特性値を変化させるため燃料と人工空気混合気を使用した. また, 混合気初期圧は大気圧として, それぞれの混合気に対して乱れ強さを5段階に変化させた. その結果, 乱流伝ぱ火炎の微細構造についてのシュリーレン像の解析と考察により, 次の結論を得た. 予混合乱流伝ぱ火炎シュリーレン像の縞間隔は, 乱れ強さの増加とともに急激に小さくなる. これは, 乱流火炎の厚さ方向に存在する火炎素面の影響がシュリーレン像に現われたことによるものと考えられる. 同じ乱れ強さのもとでは, 層流燃焼速度が大きいほど縞間隔は大きく, また層流火炎反応域厚さが厚いほど縞間隔は大きい. プロパン混合気を使用した場合, 層流燃焼速度と層流火炎反応域厚さが一定であれば, 酸素濃度が高いほど縞間隔は大きい. 予混合乱流伝ぱ火炎の微細構造モデルにより, シュリーレン縞間隔の解析を行った結果, 乱れが強い場合には予測値と実測値は定量的によく反応するが, 乱れが弱い場合の予測値は実測値のほぼ半分の値を与える. また, しわ状層流火炎モデル, 群島状層流火炎モデルに関する考察を行い, ダムケラー数とレイノズル数の関数として遷移領域を示した.
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