研究概要 |
熱分解装置を用い各種燃料を加熱した際に脱水素反応によって生成される水素を分析した結果, 燃料の分解開始とほぼ同時に脱水素反応が始まり, 重, 縮合反応により多環芳香族成分が生成される温度付近から急激に脱水素反応が活発になることを明らかとした. 赤外線ゴールドイメージ炉を利用した反応流動管を試作し, 気体燃料のプロパン, エチレン, アセチレンを窒素雰囲気中で加熱した結果, 微粒子の生成開始温度はアセチレンが最も低く, かつ生成量も多いことが明らかとなった. また, 電子顕微鏡で固体状のすす粒子の観察を行った結果, 生成量の多い燃料ほどすす粒子の粒子径も大きくなる傾向が見られることが明らかとなった. 排出微粒子中に含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)の抽出法について検討を行った結果, 真空昇華法と低温凝縮法を組み合わせることによって, 二環のジフェニルから七環のコロネンまでの抽出が可能となった. なおこの際の真空昇華条件は, 真空度5.0×10-2Pa, 昇華温度325°C, 昇華時間25分, 凝縮部の冷却温度-70°Cで二環のジフェニル以上の成分について抽出を可能とした. 反応流動管を用いて気体燃料を加熱した際に生成された微粒子をガラスフィルタで採取し, 真空昇華法で多環芳香族成分を抽出して分析した結果, 三環, 四環, 五環の芳香族成分が多くみられ, これらはいずれも温度の上昇と共に増加して行くが, 固体状のすす粒子が生成される温度付近からは急激に減少して行くことが明らかとなった. ディーゼル機関の燃焼室内より高速ガスサンプリング装置を用い, 各クランク角度毎のガスを採取し分析した結果, 燃焼室内の炭化水素成分としては燃料の分解成分である低沸点炭化水素(C_1〜C_4)が大部分を占めていることが明らかとなった.
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