微粒子の生成過程、ならびにその低減法を明らかにするために、熱分解装置を用い、窒素雰囲気中で種々の燃料を加熱し、その分解、縮・重合過程を調べた。その結果、軽油の主成分であるパラフィン系燃料は、一旦低沸点炭化水素に分解し、その後、縮・重合ならびに脱水素反応により多環芳香族炭化水素(PAH)へと多環化が進行して行くのに対し、ベンゼン環を持つアロマチック系燃料は、ほとんど低沸点炭化水素に分解せずに多環化して行くことを明らかにした。 次に、真空昇華法とカラム凝縮法を組合わせた方法により、微量サンプルガスによるPAHの分析法について検討を行った結果、昇華温度300℃、真空℃0.05Pa、昇華時間30分、凝縮カラム温度-70℃とすることで、2環から7環のPAH成分の分析が可能となった。 以上の実権結果に基づき、次に、反応流動管を試作して窒素気流中で、パラフィン系燃料の分解成分である低沸点炭化水素の中から、炭素数、あるいは分子構造の異なる種々の燃料を対象として加熱し、微粒子の生成量、微粒子中のPAH成分の分析、ならびに電子顕微鏡によるすす粒子形状の観察を行った。その結果、微粒子の生成開始温度は炭素数、あるいは分子構造によって異なること、C/H比が大きくなると微粒子の生成量が多くなること、微粒子の生成開始温度が低く、生成量が多い燃料ほど、すす粒子の径も大きくなること、さらにすす前駆物質としてのPAHは、3環、4環、あるいは5環の成分が多いこと等を明らかにした。以上のことから低沸点炭化水素からの微粒子の生成過程は、炭素数あるいは分子構造により温度範囲は異なるものの、縮・重合、ならびに脱水素反応により、PAHを経てすす粒子に至るのがその主要経路と言える。
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