研究課題
一般研究(C)
電子機器の半導体IC素子や原子炉の燃料棒などはそれ自体発熱する。このような発熱物体内の温度分布や表面からの放熱量の解明は、発熱物体の過熱や熱変形を防ぐうえで工業的に重要な課題である。発熱物体は周囲流体と熱交換を行なう。このような課題は境界面上で熱移動を考慮した固体と流体との熱連成問題として扱う必要がある。熱移動の解析において、固体と流体が接触する境界面上の温度や熱授受などの熱的接触境界条件が必要になる。この条件が求められると、固体の温度分布および流体の温度分布と流動状態が計算できる。しかしこの条件は現在までのところ明らかにされていない。本報告では初めに、境界において熱移動を考慮した固体と流体の温度場解析のための変分原理をそれぞれ提案した。流体の温度場は流れに影響される。流れ場解析には著者らが既に提案しているハイブリッド形仮想仕事の原理を用いた。これらの変分原理に基づく有限要素法(FEM)を誘導する。次に、熱的接触境界条件を満足させるために、誘導したFEMに局所的な熱伝達率に相当する反復,修正のためのパラメータを導入し、固体と流体を一個の連続体として扱うFEM方程式を構築した。最後に、変分原理に基づくFEM方程式の妥当性を調べる。基本的な計算例として、等温垂直平板上に沿う2次元定常自然対流をFEM解析した。この結果は従来の境界層理論の解とよく一致した。さらに、内部の温度が部分的に既知である固体と周囲流体との自然対流に関する2次元熱連成場をFEM解析した。等温垂直平板の結果と比較して、現象的に正しいことが判明した。以上のことから、本計算法は固体と流体との熱連成場解析に適用できることがわかった。
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