研究概要 |
本研究は、スパッタリング法を用いてB1型N6N系超電導体のテープ状線材を製作し、実用上興味ある高磁界における超電導特性および線材に歪みが加わった状態での超電導特性への効果を調べ、ストレスに強い高磁界・高電流密度超電導線材の基磁研究を行うものである。 本年度は、サファイア・石英などの絶縁物基板にN6N薄膜を種々のスパッタ条件(基板温度Ts,アルゴンガス圧【P_(Ar)】,窒素ガス圧【P_(N_2)】)の下で製作し、20Tを越える高磁界下での超電導特性を把握するとともに、膜構造,結晶粒との関係を求めている。また、この結果に基づいてハステロイB,スチンレス基板への製作を進め、テープ状試料(長さ20cm,幅3mm,厚さ0.3μm)を得ている。これまでの実験結果の概要を次に示す。 1.製作条件:放電電力150W,放電圧力(【P_(Ar)】+【P_(N_2)】)10-15mTorrと一定にし、Tsを180-700℃の範囲で製作を行っている。臨界温度Tcは、【P_(N_2)】に依存し、3-5mTorrで極大となり15-16Kが得られる。B1相は基板面に平行に(111)面が成長しており、結晶粒は、石英基板では小さく200-500【A!°】程度となっている。 2.臨界磁場Hc:臨界磁場は、印加磁場の方向に著しく影響を受け、また通常の超電導薄膜の場合と異なり、膜面に垂直な磁場の印加では高い値を示す。臨界磁場の最高は30Tを越えることが予測され、試料の常電導抵抗率ρnと密接に関係していることが明らかとなり、さらに結晶粒の大きさとの関連も見い出された。 3.臨界電流密度Jc:JcはHcの場合と同様、印加磁場方向による異方性を示し、高Hcを示す試料では、20Tの垂直磁場で1×【10^4】A/【cm^2】を越える。
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