研究概要 |
ハイブリッドプラズマCVD(化学気相析出)容器を作成し、パルス電磁誘導放電,高周波容量結合放電,誘導結合放電,マイクロ波放電の複合放電プラズマが生成できるようになった。現在までの実験研究の結果は以下の通りである。 1.ハイブリッド放電特性 パルス電磁誘導プラズマの電子温度は、分光学的方法によれば、25kV充電時,メタン放電では50000K(最高),サイレンガス放電では15000Kであることがわかった。高周波放電(13.56MHz)ではメタンの場合、10〜50Wの電力で10000K〜25000Kであった。ハイブリッド方式にすることにより、パルス放電の起動を安定にすることができ、広範囲の放電条件でのプラズマ生成が可能になった。 2.アモルファスカーボン膜生成 メタンガス放電により常温ガラス基板に付着性の良い膜を生成できた。パルス誘導放電のみの放電による堆積速度は1mm/回(25kV時)であり、充電電圧を上げれば堆積速度は増大した。ハイブリッド方式にすることにより、堆積速度の増大,膜質的質化がえられた。膜の光学ギャップは1.0〜2.0eVの範囲であった。 3.厚膜、多層膜への応用 通常の高周波CVDでは0.5μm以上の良質膜の成長は困難であるが、ハイブリッド放電では1μm程度までの膜成長が可能であった。膜成長に伴う放電特性への影響が少ないため、放電制御が簡単である。 4.今後の研究の展開と計画 61年度の研究成果は電気学会論文誌に掲載決定(5月号)となり、またアメリカ材料研究学会(MRS)春季会議(USA,4月)と第10回化学気相国際会議(CVD-X,USA,10月)での講演発表は採択された。本方式による新素材プロセシングは国内,国外で興味を持たれており、装置小型化,高速膜析出,異種気体による多層膜形成を目的としたプロセシング装置開発研究へ発展させる必要がある。
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