研究概要 |
今年度は、シアン,マゼンタ,イエローの3色のカラートナー(電子写真現像剤)、およびこれらのトナーの主成分であるスチレン,アクリル,エポキシ,ポリエチレン等の高分子粉体の粒状性、電気的性質の評価を中心に研究をすすめた。その結果、以下のような知見、成果を得た。 1.平行平板電極間に充てんして測定したカラートナーのみかけの抵抗率は、すべて【10^(12)】Ωcm以上であり、通常のトナー(黒)と大きな違いはない。この事実は、カラー複写機においても従来の現像方式を大きく変更することなく採用できることを示唆する。 2.カラートナーがポリふっ化ビニリデン,ポリスチレン等のペレットとの摩擦により得る帯電量をブローオフ法により測定した結果、摩擦条件にもよるが、10〜30μC/gの値が得られた。トナーの種類による帯電量の違いは大きくなはい。カラートナーの帯電量は同じ条件で測定した通常のトナーの帯電量より1.5〜2倍大きく、影像力によりスリーブに付着させて現像を行なう、いわゆる一成分現像剤としての使用が可能と考える。 3.熱刺激表面電位減衰法により、カラートナーにおける電荷の捕獲されている準位を推定したところ、いずれもleV前後の値が得られた。この値より、カラートナーの電荷保持能力は十分であると判断した。 4.カラートナー充てん層のみかけの誘電率の値は10〜20であり、通常のトナーと大差はない。 5.トナーの帯電量を制御する目的で添加する物質は、カラートナーの場合は任意に選定することはできず、色調も考慮する必要がある。 以上の今年度の研究成果をふまえて、来年度は実際の複写機を用いての現像特性の把握を中心に研究をすすめる。
|