研究概要 |
前年度作成したGd/Co多層膜の磁化過程について検討するとともに, 新たにErCo組成変調膜を作成しその磁化過程を調べた. 1.Gd/Co組成変調膜 前年度作成した(Gd110〓/Co147〓)を12周期積層した膜においては, 80〜150Kの温度範囲で磁化曲線を測定すると一端飽和しかけた磁化が数KOe以上の磁界で再び急増する現象がみられた. この原因を調べる目的で, 分子場近似を用いて磁化過程の計算機シミュレーションを行ったところ, GdのスピンがCoのスピンと反平行の状態から, 磁界の増加とともにねじれたスピン配列の状態へと変化していく様子がみられた. また計算により求めた磁化曲線は実験結果と定性的に一致した. このことから実際の膜においても上記のようなGdスピン配列の転移が起っているものと推定される. 2.Er-Co組成変調膜の垂直磁気異方性 基板バイアス変調スパッタ法により膜厚方向に組成の周期的変化をもつ膜を作成した. バイアス電圧を0V/100Vと交互に変化させた膜では, 8原子%の組成変調が得られた. この膜は組成変調周期が減少するにつれて垂直磁気異方性が増加し周期64〓では, 磁化曲線において, 膜面に垂直方向を容易軸とする磁化成分が見られた. この垂直磁気異方性の成因については現在検討中である.
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