1.ITO-Ti【O_2】-Se構造太陽電池の作製法を確立する目的で、この太陽電池に適するITO透明導電膜のスパッタ法による形成条件を検討した。すなわち、スパッタ時におけるプラズマ状態および基板に到達する粒子の種類と量に関する情報を分光分析法および質量分析法によって診断し、その結果からITO膜特性とプラズマ状態との関係を明らかにした。 2.Se太陽電池を大面積化(約25【cm^2】)した場合、曲線因子(FF)が小さくなり、変換効率が低下する傾向がある。そこで裏面電極材料に問題点をしぼり、電極材料と変換効率の関係を検討した。従来は電極材料としてAuを使用してたが、それに代ってAu-Zn合金を用い、Znの量が0.5%のとき大幅に変換効率が改善されることがわかった。 3.温度サイクルおける信頼性試験を実装した状態で行った。-30℃←→90℃においては実用上問題のないレベルにあるが、-40℃←→100℃において特性に影響がみられ、その原因がコーティングしたエポキシ材の一部の剥離によるものとわかった。今後コーティング材の検討を行う必要がある。 4.Se太陽電池の変換効率を初期の7%以上にするには、Seを主成分とした化合物が必要との結論になり、Se系材料の検討を行なっている。 5.Se太陽電池は短波長域での感度が高く、全可視光域で高感度なカラーセンサとなることから、これを用いた色彩計を作製し、その特性を検討したところ、十分実用しうることがわかった。
|