研究課題/領域番号 |
61550257
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小川 英光 東京工大, 工学部, 助教授 (50016630)
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研究分担者 |
井宮 淳 金沢大学, 工学部, 講師 (10176505)
熊沢 逸夫 東京工業大学, 工学部, 助手 (70186469)
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キーワード | CT / 画像再構成 / 画像複元 / アナログ符号 / 級数展開法 / 円錐ビームによる画像再構成 / 3次元画像直接再構成 / 不完全投影 |
研究概要 |
医学の分野に革命をもたらしたコンピュータトモグラフィ(CT)は、ここ10年の間に目覚しい発展を遂げた。しかし、CT技術は決して完成したものではなく、次に示すように大きな問題が残されている。現在の技術では再構成したい断面に対して180度または360度すべての角度から投影データを測定しなければいけない。従って、直接再構成できる断面も、体軸横断面あるいはそれから僅かにずれた傾きをもった断面に限られている。その結果、任意断面像や3次元画像を再構成するためには、いくつもの体軸横断面を予め構成しておかなければいけないことになり、投影データを得るための測定時間がかかり、被験者のX線被曝量が増えることになる。本研究は、これらの問題に対して統一的解決を与えるために始められたものであり、本年度は、三つのアプローチを試み、次のような成果を得た。 1.円錐状のX線を必要な部位にだけ照射することにより3次元画像を直接再構成するための級数展開法を導き、原理的にはそれが可能であることを示した。しかし、現在のところこの方法は雑音に対して敏感であるので、その対策として、次の二つの方法を提案した。 2.画像復元理論を適用する方法。数学的には、CTの問題も画像復元の問題も全く同じ問題になる。しかも、画像復元ではランダム雑音の影響が直接モデルの中に組込まれているので、ランダム雑音に対して安定な復元方法を得ることができる。本年度は、未だ抽象的一般論の段階ではあるが、部分射影フィルタの概念を提案し、その一般形を求めることができた。 3.いわゆる不完全投影は、インパルス状の雑音の加わった投影とみなすことができる。このような見方をすれば、不完全投影からの画像再構成問題がアナログ符号の問題に帰着できることを明らかにし、CTに対する全く新しい接近法を開拓することができた。
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